VOICE magabon interview

No.109 織田裕二(俳優)

正しいと思うことをやる。青島はいつまで経っても“街のおまわりさん”。
僕は彼をすごく愛しているし、飽きなくて面白いなと思っています。

1997年にフジテレビ系列で放送を開始したドラマ「踊る大捜査線」。織田裕二演じる刑事・青島俊作を中心に、従来の刑事ドラマとは一線を画し、笑いと涙とともに警察の組織や警察機構に生きる人々の姿を描き、大きな話題を集めた。1998年には劇場版第1弾「踊る大捜査線 THE MOVIE」、2003年には劇場版第2弾「踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」が公開され、いずれも大ヒット。第2弾は観客動員数1260万人、興行収入173.5億円を記録し、未だに日本実写映画興行収入記録の頂点に君臨し続けている。そして2010年、多くのファンが待ち望んだ劇場版最新作「踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!」が、7年ぶりに公開!
本作で係長に昇進した青島は、高度なセキュリティの新湾岸署への引越しを一任されて大張り切り。その最中、湾岸署管内で次々と事件が発生。青島をはじめ、盗犯係の恩田すみれ(深津絵里)、キャリアの室井慎次(柳葉敏郎)、真下正義(ユースケ・サンタマリア)などおなじみのメンバーはもちろん、管理補佐官の鳥飼誠一(小栗旬)、故いかりや長介が演じた人気キャラクター和久さんの甥っ子・和久くん(伊藤淳史)など、新旧豪華キャストたちが、史上最悪な事件を迎え討つ。
そこで、織田裕二に単独インタビューを敢行! 本作への熱い想いを、とことんぶつけてもらった。

織田裕二

――「踊る大捜査線」シリーズは、どちらかと言えば刑事の地味な仕事に焦点が当てられているにも関わらず、多くの人の心を掴む理由はどこにあると思いますか?
「普段の仕事に置き換えられるからだと思います。元々、『踊る』は事件を追うばかりの刑事ドラマじゃないので、事件解決に重点を置いていないんですよ。それよりも支店(所轄)や本店(警視庁)との人間関係を描いている。だから、大手や中小企業の受注関係とか、実生活にシンクロしちゃうんですよね。この作品の設定が、たまたま刑事だったというだけです。本店側の室井さんは、ドラマだと今より冷血で、警察はいわゆる縦社会だと主張していました。それが劇場版から、自分の考えはよくないことなんじゃないかと思い始めるんです。刑事はコマとなる機械じゃなくて人間。間違っているところも含めてね。この作品は、主人公は正しいことをしようとしてますが、署長たちの行動はやってはいけないことのオンパレード(笑)。現実にありそうなリアリティがありますよね」

――7年ぶりの3作目。どのような気持ちで臨みましたか?
「『7年かかっちゃった』というのが正直なところで、本当は5年くらいでやりたかったですね。どうして5年必要かというと、この作品が大切にしているのは、今の日本の“背景”なんです。例えばドラマがスタートした時、湾岸署があるお台場は空き地ばかりで、事件もなかなか起こらないから『暇な署だ』と言われていた。それが劇場版第2弾では、お台場は住民も犯罪も増えて、今度は人数が足りないから馬車馬のように働かなくちゃいけなくなった。現実に起こっていることと映画で起こっていることが非常にリンクしているから、5年くらい経っている時の変化が一番面白いんですよ」

――ドコモ動画では、現在「係長 青島俊作」が配信中ですが、映画との関連性は?
「この映画のプロローグのようなドラマで、舞台は取調室だけなんですよ。被害者相手に喋るだけだけど、すごい人間ドラマが隠されているからチェックしてほしいですね」

――和久さんという大きな存在を失って初めての劇場版ですが、改めて感じる和久さんへの想いは?
「この作品の面白さのひとつが、青島と和久さんのでこぼこコンビだと思うんです。青島が『古いっすよ』と言いながらも、和久さんは『時代がいかに変わろうと絶対に人間は捨てちゃいけないよ』と教えてくれる。日本が失いつつある“頑固おやじ”のような存在で、青島にとってはすごくありがたくて、唯一甘えられる人だった。実は、映画では直接触れられていないんですけど、和久さんの『指導員』って書かれた腕章を美術さんが作ってくれて、撮影中にずっと青島のカバンの中に入れていました。その腕章をパッと見れば分かる人も多いだろうし、(テレビドラマ版の)吉田のおばあちゃんのお守りのようなものだと思っていて。青島にとっての精神的な支えとして、持ち歩いていたかったんです」

――他のレギュラーメンバーにとっても、和久さんの存在は大きかったと思います。
「すみれさんと話していても、近くに和久さんの席を見ただけで、ふっと間ができるんですよ。死は避けられないし、自分たちもいつか死ぬ。大事な人が亡くなった時に、残された人はどう受け止めて次の一歩を踏むかが大切で。だから、今回のテーマって、実は“生と死と仲間”なんですよね。今こうして生きている僕たちなりの“死”に対する答えを、和久さんに観てほしいし、届いてほしい。ファンの心の中にも和久さんは生きていると思うし、その想いを継承するのが青島たちの役目だと思っています」



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