
この世で最も価値のあるもの、それは“アイデア”。カタチになる前のアイデアを、他人の頭の中に入って盗む者たちが現れたら!? これまでスクリーン上で誰もリアルな形で表現してこなかった“頭の中の世界”を体感できる、革新的なエンターテイメント超大作「インセプション」が誕生。「バットマン・ビギンズ」「ダークナイト」のクリストファー・ノーラン監督が指揮を執り、レオナルド・ディカプリオ、渡辺謙、マリオン・コティヤールなど、世界各国のトップスターたちが夢の共演を果たす。
物語の主人公は、他人の頭の中に侵入してアイデアを盗む能力を持つドム・コブ(レオナルド・ディカプリオ)。ある日彼は、サイトー(渡辺謙)と呼ばれる大物実業家から、アイデアを盗むのではなく植えつけるという最高難度の仕事“インセプション”を依頼される。コブはスペシャリストチームを組んでミッションに挑むが、今回のターゲットは盗みを阻止する特別な訓練を受けていたため、事態は思わぬ方向へと転がり始める…。
この壮大なストーリーの謎を解き明かすべく、渡辺謙にインタビューを敢行。ノーラン監督のオファーを即答したという彼が惚れ込んだ、本作の魅力とは?

――これまでの映画にないストーリーの本作ですが、魅力を教えてください。
「『何が起きるか分からない』という、映画本来が持っている楽しみを存分に感じられます。最近は3Dなど、視覚効果の面白さが映画の先端として語られていますが、この映画は観る人の想像力の中で頭がシャッフルされる作品だと思うんですよ。言ってみれば、脳内アトラクションのような作品。観るというより、体験するという風に捉えてほしいですね。確実に言えるのは、観終わった後に誰かとストーリーについて喋らないと、ストレスが溜まるはずです(笑)」
――最初にストーリー設定を聞いた時、どのように感じましたか?
「訳が分からなかったです(笑)。台本を30ページくらい読んだ段階で、3回くらい読み直しました。『え? どうなってるの?』って。最初は面白いと思ったんですけど、撮影が終わった後は、絶対に人の思考に入りたくないと思いましたね。それには様々な危険性が孕まれていて、並大抵のことではない。絶対そんなことしたくないしされたくないし、めちゃくちゃ怖いと思いました(笑)。それに、人間の夢や潜在意識は未知の領域で、ほとんど分からないことじゃないですか。不確かな情報やマインドを持っている中で、僕たちは表現しているし、お客さんも受け止めている。だから、表現の領域は結構あるんだなって可能性を感じましたよ」
――ノーラン監督とは「バットマン・ビギンズ」に続いて2作目ですが、どんな撮影方法をする監督ですか?
「彼はCGの使用を最小限にとどめます。セットを組んだりロケに行くのも理由があって、役者たちをその世界に放り込んで、全て体感したうえで演じさせるんです。だからこそ、何もかもリアルに表現されていくんだと思うんですよね。想像だにしないことだとしても、それがリアルじゃないと引き込まれていかないじゃないですか。このストーリーも、夢の中や潜在意識の中の真理でありながら、それが夢なのか現実なのか分からなくなるリアルさがたくさんあるわけですよ。ノーランの撮影方法は、これだけデジタルな世の中になっているにも関わらず、ものすごくアナログなんです」
――具体的にどんな演出がありましたか?
「彼のイマジネーションで作っているので、内容の説明は時々ありましたが、演技についての演出はあまりなかったですね。でもアクションシーンでは、パワフルでカリスマティックに、『007』のジェームズ・ボンドみたいにやってくれと言っていました(笑)。それから、体がついていくのが大変。一日中、水のシーンがあっても、彼が率先してタンクを背負って潜るから文句が言えないわけですよ(笑)。『バットマン』の時も、大雨を降らすシーンで雨合羽を着て、ストリートのど真ん中で指示を出していました。それはある種、尊敬できるスタイルですよね。毎日、彼の頭を開けて見てみたかったです(笑)」
――6カ国で撮影されたそうですが、現場のエピソードがあれば教えてください。
「いやぁ、本当に色々ありましたよ。モロッコに一週間ほど撮影に行ったら、ちょうどラマダン(断食月)が始まる時だったので、現地スタッフは何も口にできず皆イライラしているんですよ。だから気を使っちゃって、水を飲むのにも物陰に隠れて飲んでいましたね。しかもモロッコに到着した時、僕の手荷物が失くなってしまって。現地でTシャツを1枚買って、着てきた服とそれを交互に洗って着ていました。パンツも1枚1枚手洗いして『なんだかなぁ…』と思いながら過ごしていました(笑)」
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