VOICE magabon interview

No.201 楳図かずお(漫画家・歌手)

趣味で海賊をやりたいですね
みんなで海賊になって『ヘイヘイヘイヘイ!』って!

「漂流教室」「まことちゃん」「おろち」など、数々の傑作を世に送り出してきた天才漫画家・楳図かずお。1955年のデビュー以来、ギャグ漫画から恐怖漫画まで、想像力と知性に溢れたストーリー、圧倒的な表現力で多くのファンを魅力し続けている。
1975年には全曲を自身が作詞作曲した名盤「闇のアルバム」を発表するなど、漫画だけにとどまらず、ミュージシャンとしても精力的に活動。その第2弾となる「闇のアルバム2」が、実に36年の時を超えて完成した。
ロック、歌謡曲、タンゴ、ブルースなど、幅広いジャンルのナンバー。今回もほぼ全ての楽曲を作詞作曲し、見事な歌唱力も驚くばかり。漫画や自身の存在と同様に、エンジン全開、自由奔放! 独創的な音楽の世界に、誰しもが心を“グワシ!”とわしづかみにされてしまうはず。
そこで楳図先生にインタビューを敢行すべく、噂の“まことちゃんハウス”に潜入! 赤白ボーダーに身を包み、優しい笑顔で迎え入れてくれた先生に、アルバムの聴きどころから、発想力の源までをたっぷりと語ってもらう。

楳図かずお

――名盤「闇のアルバム」から、36年ぶりの第2弾発売となりました。
「36年の間、まったく音楽活動をやっていなかったというわけではないんですが、ここ2~3年、生のバンドで音楽をずっとやっていまして。全曲パターンの違う、いろんな種類の曲が楽しめるアルバムになりました」

――やはり漫画同様、先生の作品は唯一無二であると感じます。オリジナリティはこだわるところですか?
「オリジナリティは大事ですねぇ。『自分で作ったぞ!』というところがないと、次の馬力になっていかないんです。自分で作ったら、その自信が重なっていくし、自分の中から出てきたものだと、感情もしっかりと込められますから」

――発想力の源はどこにあるのですか?
「泉のごとく、というわけにもいかないんですが、作る苦しみも楽しさのひとつだと思っています。そうでないと、作る人にはなれないですもんね。作る上で、『ギョエー!』の展開はおいしいです(笑)。頭の中でお話が全部成り立っているわけではなくて、僕自身どこで『ギョエー!』って言おうかなって思いつつ。物語のパーツがつながって『ギョエー!』という組み合わせを見つけると、『宝物、はっけーん!』って。イメージも急には降りてきませんから、ある程度『作ろう!』という姿勢でいつも考えていないと、何かは降りてこないと思います」

――エネルギーを保つ秘訣は?
「来月9月で75歳になるんですが、やっぱりエネルギーを人に取られないようにすることが秘訣です(笑)。何か作りたいという気持ちは全く衰えませんねぇ。もう、そういう風に生まれてきていますので。泳いでいないと止まっちゃう、魚みたいなもので」

――漫画と音楽の関連性をどう感じますか?
「共通しているのは、ストーリー、お話が入っているところ。モノを作るという姿勢も同じです。僕は詞から作って、お話を曲にのせるんです。漫画のタイトルをつけた曲もありますが、やはり音階やリズムは漫画では表現できませんし、漫画で言えなかった部分を歌にした曲もあります」

――1曲目の「わたしのふるさと」は、歌詞に吉野熊野とあるように、和歌山で生まれ、奈良に育ったご自身のふるさとを歌ったものですね。
「そうなんです。ふるさと、と言ってイメージするのは、“河童、ツチノコ、山ん婆”と歌詞にもありますが、お化けの類で(苦笑)。川に泳ぎに行ったら、鯉の大きいのがいて、『引きずり込まれるからあそこには行っちゃいけない』という言い伝えがあったり。高野山とかね、神秘的で、天狗とかも本当にいるのかなって気になっちゃう。作品の中にはそういうイメージが反映されているでしょうね。怖いのは自然。で、2曲目には“チキンジョージ”という現代のお化けが登場します。うまく“お化け”でつながって(笑)」

――「チキンジョージ」は、漫画「14歳」のキャラクターでもありますが、先生にとってどのような存在ですか?
「この曲、なかなかいいでしょ(笑)? すごい作りがいがあった。チキンジョージは、現代の人間を唯一批判できる存在なんです。人間が人間を批判すると嫌がらせになっちゃうし、僕が歌詞の中で言うと、いやらしくなっちゃうけど、チキンジョージの口から言っているから(笑)。チキンジョージも言っているけど、僕、『人類よ、どこへ行く』って思うんです。ネアンデルタール人もクロマニヨン人も同時期に生きていたというのをテレビで見たんだけど、ネアンデルタール人だけ滅んじゃうの。それぞれの歩み方があって、滅びてしまう運命や環境に陥っちゃうんだけど、それは人類も一緒で」

――5曲目の「14歳」の歌詞では、人類に「お前次第だ」とメッセージを送っていますね。
「そうなんです。僕達次第。次の分岐点があって、新たな良い方向が見つかるのであれば、それは僕達、14歳次第なんです。漫画『14歳』の中では、人類の存在を14歳としたら、進化した次の姿ってどうなるんだろうって考えて。漫画では、3歳児の男の子になるんですね。進化の仕方ってそうだと思う。水前寺清子さんの歌で『3歩進んで、2歩下がる』って、あの歌が僕、大好きで。生物は進むばっかりじゃ、袋小路に入っちゃうことがあるし、世界がめちゃめちゃ狭くなる。いったん進んだら、退化して、幼児化することが必要。退化しながら進化するんです! いつでも子供の状態を保っておく。そうすれば人間も正常な形に進んで行くんじゃないかなぁ。『14歳』は漫画では説明しなかったことを歌でフォローしているので、歌と漫画、両方合わせると、作品の分かりが深くなるかと思います」



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