VOICE magabon interview

No.222 三谷幸喜(監督・脚本家)

三谷幸喜

――西田敏行さんのアドリブが炸裂したそうですが、監督として笑いをこらえるのは大変ではなかったですか?
「僕が笑ってNGになることはなかったけど、ずっと見ていたくてなかなかカットがかけられなかったことは何度かあります。西田さんのアドリブって、本人の発想ではなく、六兵衛の気持ちになったアドリブだからいいんです。僕は好きなアドリブと嫌いなアドリブがあって。たとえば舞台で誰かが殴られた時、『本当に痛い』と言って笑いをとる人がいますよね。でも、それって芝居ではなく、ただ本当に痛かったということだから、そういうアドリブはルール違反な気がして嫌なんです。でも、西田さんはそういうことを絶対おっしゃらなくて、六兵衛としてのアドリブを言われるんです」

――たとえばどんなアドリブですか?
「六兵衛が天国の様子をエミに語る時『ネアンデルタール人がわさわさいた』というアドリブを言われたんです。『あれは、いつ思いついたんですか?』って西田さんに聞いたら『天国に行って人を探す光景を思い浮かべた時です』って。それをそのまま言葉にされたそうなんです。しかもネアンデルタールだからこそ笑える。これがクロマニヨンや北京原人でもダメで、言葉をチョイスするセンスがいいんですよ。実は今回『アドリブ解禁で自由にやってください』とは言ったんですが、悔しいから、あらかじめ西田さんが言いそうなセリフは全部脚本に書いたつもりだったんです。でも、西田さんはそれを上回る面白いことをたくさんしてくれました」

――劇中で、さりげないことだけど、実はこだわったという点があれば聞かせてください。
「メガネですね。法廷シーンで、弁護士役の深津さんと阿部さん、裁判長の小林隆さん、検事の中井貴一さん、被告のKANさん、証人の浅野忠信さんたちがいて。実は深津さん以外、全員メガネをかけているんですが、これがまたいいんです。伊丹十三さんもすごくメガネにこだわっていて、『お葬式』ではみんながメガネをかけているんです。メガネと映画との関わり合いを僕はまだ分析できていないんですが、いい感じのリアリティーが出るんです。特に裁判ものは、法廷の重々しさや堅苦しさがメガネに集約されているというか。だから向こうの世界からやってくる小日向文世さんや草なぎ剛さんとかはメガネをかけていないんです」

――オールスターキャストですが、シーンをカットするのに困った方はいましたか?
「市村正親さんのシーンですね。僕は市村さんが大好きで、ニセ陰陽師の阿倍つくつくを演じてもらったら面白かったので、現場でどんどん役を膨らませ、最終的に5シーンくらいに増えたんです。でも、ものすごく濃い方なので、全体を通して見てみたら、バランスが悪くなっちゃって、編集でカットし2シーンに戻しました。本当はつくつくが相島一之さん扮する法廷オタクを拉致し、法廷の傍聴券を奪い取るという話を撮ったんですが、カットになってしまって。しかも、相島さんは出演シーンがそこしかなかったので、本当に申し訳なかったです」

――今後の抱負を聞かせてください。
「やりたいジャンルはたくさんあって、来年以降、何年か先の予定はもうすでに決まっています。僕はコメディ作家だけど、だからといって自分をコメディという枠で縛っちゃうのはもったいない気がするので、もっといろんなことをやりつつ、また喜劇に戻ってきたいという想いはあります。NYの上映会の時にも思ったけど、舞台であれ映画であれ、もっと世界の人に、自分の作品というか、日本人が作るコメディを紹介したいとずっと思っています」

――以前、雑誌「BRUTUS」で一冊まるごと“三谷幸喜失踪事件!?”という特集がありましたが、もしも雑誌の編集長になったら、どんな雑誌を作りたいですか?
「あれは大変でしたが、いい企画でした。もしも、僕が雑誌を作るのであれば、大好きな付録を付けたいですね。毎月いろんなパーツが一つずつ送られてくる某雑誌のような。たとえば映画が1コマずつ毎月送られてくるというのとか面白そう。全然話が進まず、何の映画か分からなくて、10年くらいかかってようやく1本として完成する(笑)。うん、面白いかも!」

Text : Nobuko Yamazaki

ステキな金縛り
(C)2011 フジテレビ 東宝

ステキな金縛り
2011年10月29日(土)より
TOHOシネマズ日劇他全国ロードショー



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