VOICE magabon interview

No.233 オダギリジョー(俳優)&チャン・ドンゴン(俳優)

オダギリジョー&チャン・ドンゴン

――二人が殴り合うシーンのエピソードがあれば聞かせてください。
O「あれは3日間くらい延々とやっていました。アクション監督がまず、前日になんとなくこんな流れになるってことを教えてくれるんですが、僕が一番驚いたのは、結局テストの前に2~3回くらいしかリハーサルをせずにそのまま本番に行ってしまうんですね。動きを覚える時間がなくて、自分でもいつ覚えたんだろう?と今更ながら思いますね。何台ものカメラで撮っていくんですが、僕にしてもドンゴンさんにしても、なぜあれができたのかが不思議なくらいです」
J「本当に辛い思いをしました。今でも覚えてます。殴り合いのシーンはどんな演技よりも呼吸がぴったり合わないと上手く撮ることができません。なぜなら、実際殴ったり殴られたりするわけではないので。リアルに見せるにはどうしたらいいかってことを考えなきゃいけないし、殴る順番も頭に入れながら撮影をしなければいけない。実際、どんどんケンカが進むにつれて本当に自分たちの体が疲れていったので、それが画面に出ていたとは思っています」
O「全てが終了した時、やっと終わってくれたと思いましたよね(苦笑)」

――撮影で辛い時、お互いに愚痴を言い合ったりはしたのですか?
O「僕はチャン・ドンゴンさんに愚痴や泣き言ばかり言っていた気がします(笑)」
J「僕もオダギリさんと一緒に、不安に思ったことや愚痴などを言い合ったりしましたし、現場の状況についてオダギリさんに説明したりもしました。なぜなら、オダギリさんは今まで日本で映画の撮影をしてこられて、韓国のシステムには慣れてらっしゃらないと思ったので。そういう意味では僕の方が韓国の現場についてはよく知っているから、いろいろと説明する機会はありました」

――やはり日本の現場と韓国の現場は違いましたか?
O「監督とも話したんですが、『マイウェイ』っていう作品の現場が独特すぎるんです。これだけ準備も時間もかかる作品もないので、一概に韓国の現場はこうだとは言えないんですよね。しかも、僕が前にやった韓国映画がキム・ギドク監督作(『悲夢』)で、結局、両極端の作品ですからね。だから僕は、韓国映画のストレートな現場を知らないんです」

――チャン・ドンゴンさんは『ブラザー・フッド』に出演された際に、もう二度と戦争映画には出ないと公言されていましたが。
J「結果的には今は撮影が無事終わったので後悔はしていません。でも、撮影中は、何度も何度も後悔しました(笑)。今後は戦争映画はやりたくないと思います」

――マラソン選手になるという夢がぶれないキム・ジュンシクに感動しました。
O「ジュンシクは、どんなに過酷な状況に身を置かれても、最後まで自分の夢や信念を貫く男ですよね。しかしそれは、もともと日本の美学だったはずなんです。今そういう侍のような男性って少ないでしょ。日本人が無意識に求める男性像なのかもしれないですよね」
J「ジュンシクについては、現実にこんな人物がいたんだろうか?と思ったのが第一印象です。戦場という過酷な状況下で、自分の仲間たちがどんどん死んでいくけど、彼はマラソンを信じていたからこそ、全てに耐えていける。最初は非現実的なキャラクターだと思いましたが、ずっと演じていく中で、ジュンシクというキャラクターが、だんだん現実味を帯びていきました。人にとって夢や希望を諦めないことがいかに重要かってことを改めて教えてくれる人物だと思います。そのことは当然すぎて、普段はあまり考えないことですが、今回この映画を観ることで、考えるきっかけを作ってほしいなと思います。特に日本の皆さんは自然災害に直面し、本当に厳しい状況にいるわけだから、そういう方たちにとっても、この映画が少しでも力になればと思います」

――もしも雑誌の編集長になったら、どんな雑誌を作りたいですか?
O「カメラマンさんやメイクさん、スタイリストさんとか、僕のそばにいる人たちは、自分たちの世界観を表すために作品撮りってものを創るじゃないですか。僕が自分を表す術とするのは自主映画になってしまうんですが、そうなるとお金もかかりますし、それなりのスタッフも集めないといけないですからね。何年もかかってようやく1本作るって感じなので、自分の作品撮りを雑誌にしてしまうというのは、より自分の世界観を表現しやすいかなって思います」
J「2つあります。1つは映画関連の雑誌を作りたい。韓国にも以前は映画関連の専門誌がたくさんあったのに、今は数が減ってしまいました。僕が作りたいのは、映画について分析したり評論したりする小難しい雑誌ではなく、映画を簡単に紹介したり、大衆的な評論を加えたりしている雑誌です。もう1つは、車が好きなので、車関連の雑誌がいいです。全世界の車に関する面白い雑誌を作りたいです」

Text : Nobuko Yamazaki
Photo : Megumi Nakaoka

マイウェイ 12,000キロの真実
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2012年1月14日(土)より
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