VOICE magabon interview

No.234 阿部寛(俳優)

刑事ドラマはどこか型にはまってしまう気がして、
実は避けたかったジャンル

シリアスな役からコミカルな役まで、幅広い演技力で次々と新境地を開拓する俳優・阿部寛。彼のフィルモグラフィーに新たなハマり役として加わったのは、ベストセラー作家・東野圭吾がデビュー当時から書き続けている刑事・加賀恭一郎シリーズの主人公だ。
2010年4月にドラマ化された「新参者」、そのシリーズ第2弾として2011年1月に放送されたスペシャルドラマ「赤い指」を経て、2012年1月には映画「麒麟の翼~劇場版・新参者~」がスクリーンに登場する。
型にはまった演技はしたくないという考えから、これまで敢えて刑事ものは避けてきたという阿部寛だが、この「新参者」シリーズは型にはまらない特別なストーリーとして彼の役者魂に火を付けた。加賀恭一郎シリーズ最高傑作にして最新作の「麒麟の翼」を通じて、阿部寛はドラマでは見せなかった加賀を演じきり、自らの過去とも向き合うことに──。そこで、阿部寛に直撃インタビューを敢行!

阿部寛

――ドラマ「新参者」に続いての加賀恭一郎役。ドラマから映画へ、劇場版はどんなアプローチで加賀を作り上げたのでしょうか?
「ドラマでは加賀恭一郎をどう視聴者にインフォメーションするのかを考えながら、キャラクターを構築していったんです。それが難しくもありました。原作にはない、少しコミカルな要素を入れたりしながらも、どのくらい力を抜いていいのかとか。そして『赤い指』では、より原作に近い形でできるようになり、加賀はそれほど表情豊かなキャラクターではないので、余計に作り込まないようにしようと心掛けました。ゲスト出演者も多く出てくるので、事件のナビゲーター的な存在であろうと思ったんです。また、東野さんが今回の映画の撮影現場・水天宮にいらっしゃった時に、『新参者』はあるけれど、松宮(溝端淳平)との関係を含めて『赤い指』の続編だと考えてくださってけっこうです、とはっきり言ってくださったので、劇場版では原作に近づけて演じました」

――原作に近づけるための具体的な方法は?
「実は特別なことをしようとは思わなかったんです。けれど、その特別なことをしないようにと考えたこと自体が工夫と言えば工夫になるのかもしれない。もちろん、サスペンスを演じる難しさはありました。たとえば、加賀はどこで事件の真相をつかんだのか? という表情。加賀はもともとポーカーフェイスなキャラクターなので(笑)、そういった細かい表情は気を付けていました。刑事ものの難しさは、100シーンあったとしたら、80シーンを撮った次にはその前のシーンを撮ったりするので、台本を読み返しながら前後の微妙な差を出す必要がある。刑事ものの難しさはそこだなと思います」

――刑事役を演じるのはドラマ「新参者」が初だったそうですが、これまでに刑事もののオファーはなかったのでしょうか? また、なぜ「新参者」の加賀恭一郎を引き受けたのか、理由を聞かせてください。
「実は、刑事ドラマはどこか型にはまってしまう気がして、避けたかったジャンルだったんです。ただ、『新参者』は型にはまるというよりも10話で1ストーリーを描いているドラマ、異色の作品だと感じました。『新参者』のテーマ・人情という点においては、刑事もので人情というのは今決して多くはないテーマだったので、果たしてどうなんだろう…と掴みきれずにいました。けれど、人形町という街で、“新参者”という少し古めかしいタイトルで、下町を縫うようにして捜査する刑事・加賀恭一郎は、多くの人から支持を得た。それが結果でした。驚いたことでもあります。また、加賀が持っている悲しみや孤独感にも惹かれました。加賀は、親父が刑事だったということもあり、家族を顧みなかった父親の真意を探るために自分も刑事になって父の背中を追いかけている、そう感じたんです」

――今回の事件は日本橋の麒麟像から始まりますが、街の印象や想い出に残っているエピソードはありますか?
「これまで日本橋をしみじみと歩いたことはなかったんですが、日本の道のスタート地点というだけあって、外国の要素を取り入れた豪華というか、すごく立派なビルがたくさん立ち並んでいる。人形町とは全く違う歴史を感じました。映画を観た後にあの地下道を歩いてみてほしい」



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