VOICE magabon interview

No.235 宮本亜門(演出家)

宮本亜門

――主役の溝口を演じた森田さんの印象をお聞かせください。
「森田君は、とにかく一番稽古場にいるんです。どの役者よりも早く来て、どの役者よりも最後までいる。休憩中も台本をずっと読んでいたり、無駄口はひとつもない。ものすごい集中力でこの作品を見ている。すると、相手役とのキャッチボールの仕方を瞬時に掴めるんですね。無駄なことを舞台に持ってこないし、シンプルな力というものを感じます」

――柏木役の高岡さん、鶴川役の大東さんはいかがですか?
「高岡さんは、自分の中で今後役者としてどうあるべきか真剣に向かい合っている時期に、この作品と出会ったのだと思います。彼が演じた柏木という役も、徹底的に悩んだ末に、自分の論理を構築する。それが柏木の魅力となって舞台上に現れます。そこがちょうど高岡さんの魅力と合った。色気もあって柏木にはぴったりです。大東さんは、まだ舞台が2本目、とてもピュアだし、吸収できるものはなんでも吸収したいというオープンハートで来てくれて。森田君含め、この3人はお互いにすごくリスペクトし合っているんじゃないかな」

――ニューヨークでの公演も話題となりましたが、共感を得られたという実感はありましたか?
「僕もアメリカ公演をするときにちょっと心配していたんだけれど、向こうのプロデューサーが青春期の想いは同じだと言ってくれて。ニューヨークに行って驚いたのは、マイノリティの人たちがすごく面白がってくれたこと。ブロードウェイというのは、まだハッピーエンドが中心。その中で、ものすごく強烈なテーマを投げかけられたし、リンカーンセンター・フェスティバルの人たちも大喜びしていました」

――海外での活動も多いですが、日本と海外の違いを感じることは何ですか?
「皆さん日本にいると日本人だってあまり気づかないんだけど(笑)、海外に行くと徹底的に自分が日本人であるということを思い知らされる。差別は当然あるし、『~who you are.』と常に言われて、自分は誰なんだと考えさせられる。僕は演出家だから、思想や考え方も相手に指示しなくてはならない立場なので、特に違いを感じるのかも。だから、僕はどこの国に行っても、それぞれの違いを客観的に見て、自分の感じる人間のカラフルさを舞台で表現していきたいんです。それとね、裸の王様にはなりたくないっていう想いがあって(笑)。分かったつもりになって、小さいところで悩んでいるのが嫌なんです。地球の裏側に行けばこっちの常識が非常識だったりするもの。ちゃんと世界を見て、一回しかない人生で色んな体験をしていきたいですね」

――新たな場所でチャレンジをすることが不安になることはありますか?
「当然、不安はあります。でも、誰しもが悩むもの。でも不安から抜け出すのは自分しかできないからね。僕は中学生のときにずっと引きこもりだったから、1回それで壮絶な痛みと伴った学びを経験したから今は、何とか抜け出す訓練ができたっていうか(笑)。経験が増えると、『前と同じ方向に行っちゃいけない』ということを学べる。それが年を重ねる面白さ。でも若いときは苦しいね! 僕も思春期にはすごく苦労したので、『金閣寺』には自分のそういう想いも入っているかもしれません。今はね、生きていることが面白くてしょうがない。死のうとしていたら、もうそのときで終わっていた。思春期の頃に、大人がこんなに楽しいとは想像できなかったからな! 年を重ねれば重ねるほど面白くなっちゃって、口を開けて驚いているところです(笑)」

――もしも編集長になったら、どんな雑誌を作ってみたいですか?
「まず、テーマが毎回変わる雑誌。僕は違うものと違うものがぶつかり合う化学反応に興味があって。『金閣寺』でも、山川冬樹というボイスパフォーマーだったり大駱駝艦という舞踏の方々がいたりして、ぶつかりあって新しいものが見えてくる。特に震災以降、保守的な考え方じゃダメだって思うんです。今“ふんばろう東日本”という支援プロジェクトに参加しているんですが、ここでは目的のために色々な発想を出し合うんです。そうやって、全く違う分野の人が意見交換をして、時にはぶつかって新しいクリエイションが生まれてくるような対談がある雑誌がいいですね。映像だったら瞬時に消えてしまうけれど、雑誌なら様々な意見をじっくり自分の中に入れ込むこともできるし。色々な分野の人と違う発想で話すと面白いですよ! 先日、動物園の園長さんと話したときも面白かったし、建築家や現代美術家、アーティストの方とも対談してみたいですね」

――最後に舞台「金閣寺」をご覧になる方にメッセージをお願いします。
「これは名作『金閣寺』だけれど、最も新しい方法で、今までにない舞台としてのパフォーマンスに仕上がっています。森田君もこれが最終公演として壮絶に臨んでいます。ぜひ、固定概念を持たずに劇場に来ていただきたい。今こそ見てほしい作品だと思います」

Text : Orie Narita
Photo :Megumi Nakaoka

金閣寺

金閣寺
■赤坂ACTシアター
公演日:2012年1月27日(金)~2月12日(日)
チケット:S席 10,000円 A席 8,000円(全席指定・税込)



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