VOICE magabon interview

No.270 北野武(映画監督・俳優・お笑いタレント)&三浦友和(俳優)

北野武&三浦友和

――三浦さんは、北野組の2作を通して、新鮮だったのはどんな点ですか?
M「監督を含めたディスカッションとかは、現場に入る前も含めて一切ないんです。だから我々俳優陣がやることは、探って探って、そこに進んでいくこと。北野監督は何を望んでいるかということを何もおっしゃらないから。そこが一番他の現場とは違うところです」

――そういう場合、現場での達成感ってあるのでしょうか?
M「それがないまま、不安のままで終わるんです。でも、北野監督がOKを出すならきっとOKなんだろうなと思っていて、出来上がりをみると、ああOKだったんだと思うことが多いです」

――前作同様に本作でも、笑いの要素がかなり盛り込まれていました。
K「俺はお笑い出身だから、本当はシリアスな映画を撮りながら、パロディ版も一緒に撮りたい。パロディ映画ってけっこうあるんだけど、知らない映画のパロディってパロディにならないでしょ。だから本編を1時間に編集して、それと同じ設定の役者でもう1本大ボケをかます映画を作るってのが面白いなと(笑)。また『アウトレイジ』については、2の次に3ってよりは、48作まで作って『アウトレイジ48』ってのはどうだろう。じゃんけん大会でメンバーも変わる。勝った奴はセンターで映画を見られるっていう。あと『アウトレイジ維新の会』とか、いろんなパターンでどうにか客を入れようかと」

――では意識的に笑いの要素を入れられたのですか?
K「別に笑わそうとしたわけじゃないけど、お笑いってのは一所懸命やればやるほど、悪魔のように笑いの要素が忍び込むんだよね。だから、緊張する場面ほど笑えてしまう。結婚式や葬式って一番笑いやすいじゃない。笑っちゃいけない時に、誰かが悪魔のようなミスをするんだよ。滑ったり、オナラをしちゃったり。映画も同じで、緊張している時ほど、あれ?って笑っちゃうようなことになるから。それを怒る監督もいるけど、俺はそのまま流しちゃう」

――頭を灰皿で殴るシーンがまさにそうだったかもしれません。
M「あの灰皿のシーンは、すごく良質なコントだなって思いました。コントは、やっぱり基本真面目にやらなければいけないんだなって感じました」

――三浦さんは、台本を読んで笑ったところはありましたか?
M「台本を読んだ時は、笑ったところなんてなかったです。クスッと笑えるシーンもないですから。でも、現場では本当に笑えるところがいっぱいありました」

――ヤクザ映画で打ち出したかったテーマとは?
K「ヨーロッパの監督風に言うと『口で言えるくらいなら映画なんて撮らないよ。映画を見て判断してくれ』ってこと。ただ、この映画はヤクザの世界の話に限ったものでもなくて。“全員悪人”ってなっているけど、発想を変えて、政治の世界や動物の世界に変えれば悪人どころか優秀な奴ばかりになる。サバンナに生きるライオンの物語として見たら、生きるためにいろんなことをやっているのが当たり前だからね。人間は社会の規律があるから、悪に対して取り締まりを行うけど、違う生き物だったら全然違う話になるよ」
M「僕も一番にイメージしたのは政治家です。首相が入ってくるまでみんな並んで立ってるじゃないですか。それで首相が座ったらみんなが座るという図式もね。SPもついているし、黒塗りの車でやってくるし、政権争いや派閥争いなど、みんなで争っているし。ただ、殺さないだけで」

――震災後の閉塞感や暗い雰囲気は作品に影響しましたか?
K「これを見て、いろいろ言う人もいるし、嫌だって思う人もいるかもしれない。それぞれだからね。映画を見て、ある程度スカッとしてくれればいいなとは思っている。俺はあまり他の芸術家やアーティストみたいに、自分の作品が国や社会に影響するかなんて、全然興味がない。国に偉大な権力者がいて、そのために何かを作るのならわかるけど、今の日本みたいに、権力者も誰もいない政治の中で、誰かのために、社会のために物を作るわけがない。社会のためにやるんだったら、デモしかないよ」

Text : Nobuko Yamazaki
Photo : Isao Hishinuma

アウトレイジ ビヨンド
(C)2012「アウトレイジ ビヨンド」製作委員会

アウトレイジ ビヨンド
2012年10月6日(土)より
新宿バルト9&新宿ピカデリーほか全国ロードショー



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