――監督は、蓮実役を演じた伊藤さんの魅力をどう感じていますか?
M「蓮実の面白いところは、ひとつだけ欠けているけれど、他のものはだいたい持っているというところ。(伊藤さんと)似てますよね、何か(笑)。『海猿』をやって、同じ年にこのような映画をやれる役者は、世界中を見てもそういないと思う。そういう動物としての強さを持っている。多くの人が彼を見たいということは、そこから吸収したい何かがあるからこそ。そういう不思議なパワーがあるんですね。そして蓮実という男は、ただ自分らしく生きたいだけなんだけど、その場所がないという孤独な男。若干、そのイメージともダブるんです」
――伊藤さんは蓮実役として、鍛え上げた肉体を惜しみなく披露しています。
M「もちろん、魅力的な肉体を活かさないわけにはいかないと思いました。また同時に、蓮実という人間にとっては、どの服を着ても『人にこう見てもらおう』という意図が感じられてしまうことになる。それは蓮実にとって邪魔なもので、くつろげないと思ったので、家にいる時は自然に脱いでしまうという設定にしました。英語の教師にしては不必要な筋肉が付いているというのも、何かの時に動物として誰よりも早く動かなければいけないということ。その一瞬がいつ訪れるかわからないから、いつも体を鍛えていなければならない。要は孤独なんですね。衣装費を節約したわけではないんですよ(笑)。蓮実としてはすごく自然なこと。そうでなければ、もう少しいやらしく見えると思うんですよね」
――新たな役柄に挑んだ今、伊藤さんはこれからの役者人生をどのように歩んで行きたいと思っていますか?
I「やっぱり、やりきるっていうことですよね。やりきるって怖いじゃないですか。『明日はもっと大変なんだよね』とか考えながら、そのシーンを撮っていたら、とんでもないこと。自分の中でそれは成立しないと思っていて。これからだって長いし、普段から何を見て、何を感じて、どうやって生きるかが役につながっていく。自分がやってきたことに勝るものはないし、それ以上を引き出してくれるのが監督の力であり、スタッフであり、共演者。台本というルールブックがあって、それは守らなければいけないけれど、はみ出しても良いと思うんですよね。そこでみんなと戦って、ぶつかり合えば良い。綺麗事かもしれないけれど、何に対しても愛があれば良いと思うんです」
――バイオレンス描写に定評のある三池監督。こだわりを教えてください。
I「バイオレンスシーンを見せたいから、蓮実を暴れさせたという考え方でやると、これは成人映画になっちゃうなと思った。やはり、蓮実や子供たちに対して、きちんと向き合ってさえいれば良いと思ったんです。子供たちの中には、初めて映画に出る人もいる。群集の中にいると、自分がどこにいるのかも、わからないかもしれない。出来上がったものを見て、悔しい思いをする子もいると思うんです。でも今回、それぞれの“死ぬ一瞬”を映し出している。そこできちんと自分の役らしく死ねれば、という思いがあるから、その部分を隠してしまうわけにもいかない。そうやって、役やその役を演じている人に対する愛情が重なっていくと、結果的にバイオレンスが生まれてくるんです」
――改めて、原作ものを映画化する面白みをどのように感じていますか?
I「原作は、絶対的にファンがいるし、僕自身、どの役者さんが良いか、イメージして読んだりするんです。だけど今回で言うと、見た目のイメージではなくて、後から来る怖さだったり、サイコパスである殺人鬼をどこか応援してしまっている自分とか、原作を読んだ時のそういう感覚が、映画でも出れば良いと思ったんですね。僕にとっては、原作のイメージは破らないように大事にしながら、ある意味、壊していく作業というのが、とても面白くて。原作は原作で面白いけど、実写には実写の蓮実が生まれたね、というようなね」
M「最初の越えなければいけないお客さんが“原作者”と、明確なところ。それを生み出した人が、『映画化してくれて良かった』、もっと言うと、『この小説を書いて良かった』と思ってもらいたい。この話を優しく届きやすいように変える、というのは原作者に対する暴力ですよね。今回は、貴志先生にも『すごく興奮した、面白かった』と言っていただけました」
Text : Orie Narita
Photo : Isao Hishinuma
(C)2012「悪の教典」製作委員会
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