VOICE magabon interview

No.80 テリー・ギリアム(映画監督)&リリー・コール(女優・モデル)

ヒースを失ってこれで終わりだと一度は諦めたけど、何とか解決策を見出してやり遂げたんだ(テリー・ギリアム監督)
初めての大役だから怖かったけど、才能ある共演者から色んなことを吸収しようとしたの(リリー・コール)

「ダークナイト」で一躍注目を浴び、今後の活躍を期待されるも突然の死を遂げた若き名優、ヒース・レジャー。彼の急逝により一時は製作中止とまで言われた「Dr.パルナサスの鏡」が、ついに公開。
舞台は、2007年のロンドン。1000歳以上という老人・パルナサス博士を座長とする一座は、心に隠し持つ欲望の世界を具現化して見せる鏡「イマジナリウム」を出し物としている。ある日、パルナサス博士の娘・ヴァレンティナが、記憶喪失の謎の男・トニーを助けたことから、一座の運命は思いがけない方向へと転がり始める…。このトニーをヒースが演じており、彼の亡き後に引き継いだのは、ジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレルの3人。いずれも、生前に親交のあった友人たちだ。
奇想天外なストーリーを映像化したのは、「モンティ・パイソン」シリーズでその名を知らしめ、「12モンキーズ」「ブラザーズ・グリム」などで“映像の魔術師”と称えられるテリー・ギリアム監督。そしてヴァレンティナ役は、「VOGUE」などの表紙を飾るスーパーモデルのリリー・コール。来日した2人に直撃インタビューを敢行し、本作の魅力を聞いた。

テリー・ギリアム&リリー・コール

――本作のモチーフとなっている鏡を使用するアイデアは、どのようにして生まれたのですか?
テリー・ギリアム監督(以下T)「鏡は時に嘘をつくし、真実を告げる。『白雪姫』で魔法の鏡が話すシーンに、いつも僕は魅了されていたよ。だから『鏡の国のアリス』のように、鏡を通して世界を見るというアイデアが、この映画作りのきっかけだったんだ」
リリー・コール(以下L)「鏡を使うことは、とても賢いアイデアだと思ったわ。テリーの持つビジュアルや哲学的なアイデアを表現しているもの。もしも『イマジナリウム』があったら、鳥になって綺麗な空気を思いきり吸いたいわ。でも、私の想像力は怖いから、映してみるとダークな世界が見えるかもしれないわね(笑)」

――ヒースの死を乗り越えて完成した本作ですが、彼との思い出は?
T「ヒースは非常に賢くて、『ブラザーズ・グリム』でも素晴らしい演技を見せてくれた。僕が仕事をした中で最も優れた俳優の1人だと思ったし、友人としても最高のヤツだったね。これから製作する作品は、全てヒースと撮りたいと思ったほどだよ。彼を失ってしまい、どのように映画を完成するか見当もつかず、これで終わりだと一度は諦めた。しかし、ニコラ(撮影監督のニコラ・ペコリーニ)や、エイミー(プロデューサーのエイミー・ギリアム)が『ヒースのためにも映画を完成させるべきだ』と後押ししてくれてね。解決策を見出してやり遂げたんだ」
L「ヒースはとても寛大で、優れた精神の持ち主だったわ。誰からも愛され、誰にも優しく接していたの。俳優としても、常に挑戦し続けることを忘れない。エネルギッシュだし、彼と一緒にいるとパワフルな気分になれたのよ。この映画から、ヒースの素晴らしいパーソナリティーが感じ取れると思うわ」

――代案として3人の俳優を起用しましたが、彼らを選んだ理由を教えてください。
T「ヒースを良く知る、彼の友人たちが欲しかったんだ。まず、何も決まってない段階でジョニーに電話で相談したら、『僕にできることなら何でもやるよ』と快く言ってくれた。そして3人の俳優に演じてもらうことに決めてから、ジュードとコリンに電話して、全員からOKをもらったんだ。登場する順番は、ジョニーが1番じゃなきゃいけないと思っていたよ。鏡を通るとヒースが別の顔になるというコンセプトを、ジョニーが演じて受け入れることができれば、あとの2人はついて来てくれると思ったんだ。コリンは最後に登場するトニーがぴったりだと思ったし、ジュードは2人の間をうまく繋いでくれると思ってね。僕の選択は合っていたと思うけど、どうかな?」
L「彼らがこの映画で続投すると聞いた時は、一瞬『どうやって?』と思った。でも、1人の俳優が演じるのも奇妙な感じがする。2人の違う俳優の演技を比べてしまうし、1人の俳優にのしかかるプレッシャーが大きいわ。だから3人の俳優で、しかもヒースを知る3人の俳優を使うと聞いて、名案だと納得したわ」



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