週刊空気人形 9月26日 シネマライズ、新宿バルト9ほか全国順次ロードショー

Interview ARATA

ARATA

僕の役者人生は是枝さんあってこそ。本当に特別な存在です。

――原作の漫画「ゴーダ哲学堂 空気人形」を出演前に読んだと聞きました。
「はい。今から7年ほど前に、是枝さんからこの漫画をいただいて読みました。その時に、『空気人形を題材に、人と人との繋がり方を撮りたい』と言っていたので、『空気人形』はその要素を具現化するきっかけでしかないのだろうと思いました。ですから、是枝さんが脚本を見せてくれる時が来るまでは、映画について余計な想像を膨らませないようにしていたんです。それから数年後、脚本を見せていただいた時は、案の定、是枝さんのほぼオリジナルに近い状態になっていました。ただ、漫画でキーポイントとなるいくつかのシーンは大切に残されていたので、僕自身も撮影を心待ちにしていました」

――「ワンダフルライフ」「DISTANCE」に続き、8年ぶりの“是枝組”に戻ってきた感想は?
「新鮮に感じたことがたくさんありますね。是枝さんは今までどおりの優しい部分もありながら、時として誰も寄せ付けない表情をしている瞬間もありました。それに、映画制作に対する深みが増したとも感じました。僕がこれまでに出演している3作についても、是枝さんから与えられた使命、と言ったら大袈裟かもしれませんが、僕に与えてくれるテーマのようなものが、ブレずに存在しているんです。僕だからできることを、しっかりと監督の目線で見定めてくれて、いつもそこを突きつめさせてくれるんだと思います」

――ARATAさんにとって是枝監督はどんな存在ですか?
「大きな存在ですし、一人の人間として心から信頼しています。映画制作の現場を初めて体験させてくれた人であり、初めて演出をしてくれた人でもあるわけですから、僕の表現のベースを作った人と言っても過言ではありません。もちろん映画監督としても尊敬していますが、是枝さんの場合、離れれば離れるほど偉大さが分かるんですよね。普通だと近くにいることで凄さを実感できると思うんですけど、他の現場や役柄を経験すればするほど、是枝さんの存在ってやっぱりすごいんだというのを感じるんです。僕の役者人生は是枝さんあってこそなので、本当に特別な存在ですね」

――空気人形役のペ・ドゥナさんと共演された感想は?
「彼女は芝居をする上で、テクニックよりも気持ちを大切にしていて、僕はそこに強く共感できました。ある日、ペ・ドゥナが『是枝監督は気持ちの部分のお芝居を重んじてくれているから、この撮影現場は愛せるし、監督のことも愛せる』と言っていて、あ、僕と同じだって。そのやりとりをしてから、彼女とは絶対うまくやっていけるなと確信しましたね。彼女の芝居に対する姿勢や志の部分もひっくるめて、他の女優さんにはない特別な存在だと思いました」

――透明なビン集めが好きな空気人形ですが、ARATAさんがコレクションしているものはありますか?
「流木とレコードと本ですね。特に流木は色んなものを集めていて、海でも川でも、大きなものから小さなものまでコレクションしています」

――COWBOOKS南青山のブックフェアで「日本遊行」という冊子を配布されていましたが、どんな内容ですか?
「これまで僕が旅をして撮った写真を、東日本編の<青龍之書>と西日本編の<白虎之書>の2冊に分けて編纂しています。僕は、自然や美術など、興味があるものはどんどん旅をして、その場で見て経験したいと考えています。そこで、旅先でたくさん写真を撮るわけですが、一冊の本としてまとめられたことは想像以上に大きい出来事ですね。パソコンのデスクトップ上で写真を見ても、それはあくまでも素材でしかないんです。でも、ひとつのテーマのもとに、そこから見せるべきものだけをピックアップして一冊にまとめると、違った見方になるということに気付きました。今までは写真を撮ってまとめても、いまいち消化できないと思っていましたが、冊子にしたことで、やっと“次の旅”に行くことができます。もっと色んな旅をして、いつか、きちんとした書籍としてまとめたいです」

ペ・ドゥナからARATAへの質問

ARATAさんは監督業に興味はありますか?また、興味があれば、どんな物語を作りたいですか?

「以前から映画は作りたいと思っていて、実はストーリーも描きあがっているんです。とある一人の男が、色んな場所を旅しながら様々な人達と出会い、自分のすべきこと、自分だからできることに目覚めるというロードムービーを撮りたいと思っています。社会に刺激を与える、起爆剤のような作品にしたいですね。映画化される時は、ペ・ドゥナも参加してください(笑)」

空気人形
(c)2009業田良家/小学館/『空気人形』製作委員会

ARATA
1974年、東京生まれ。1998年に是枝裕和監督作品「ワンダフルライフ」で、映画初出演にして、主演に抜擢され映画デビューを飾る。以降、「シェイディー・グローブ」(98)、「DISTANCE」(01)、「ピンポン」(02)、「青い車」(04)と、主演作が立て続けに公開され注目を集める。また、俳優としての活動だけにとどまらず「ELNEST CREATIVE ACTIVITY」のデザイナーを務め、独自の遊び心を落とし込んだアクティブウェアの制作に勤しむ。

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