週刊空気人形 9月26日 シネマライズ、新宿バルト9ほか全国順次ロードショー

Interview 是枝裕和監督

是枝裕和監督

好きな男の子から息を吹き込まれた空気人形が、心も体も満たされていく…その描写があまりにも官能的だったので、これは映画にしたいと即座に思いました。

――漫画「ゴーダ哲学堂 空気人形」を知ったきっかけは?
「元々、原作者の業田良家さんの漫画が好きで、『自虐の詩』なども読んでいたんです。『ゴーダ哲学堂 空気人形』は、単行本が出てすぐに入手して読みました。印象的だったのが、空気人形の空気が抜けてしぼんでしまった時に、好きな男の子から息を吹き込まれて、心も体も満たされていくシーン。その描写があまりにも官能的だったので、これは映画にしたいと即座に思いました」

――人形師や元高校国語教師など新たなサブキャラクターも登場させ、原作を大幅に脚色していますね。
「原作にも街の人々が描かれていますが、ほんの一瞬しか登場しないんですよね。でも、業田さんはきっと、空気人形の持つ空虚感を彼らに重ね合わせていると感じたんです。映画化するにあたって、街の人たちと主人公をすれ違わせながら、僕たちが日ごろ感じている空虚感をどのように点描するか考えました。このストーリーは東京でひとり暮らしをしている人たちの話だと思ったので、撮影場所はもちろん東京。当初は、人が住まなくなった古い団地に住む人たちの話にしようと思っていました。結局ちょうどいい団地は見つかりませんでしたが、隅田川付近にイメージ通りの地域があったので、そこを中心に撮影しました」

――ストーリーのベースは原作のままですが、ラストだけ原作とは違うものにするという構想はなかったのですか?
「ありませんでした。だって、人間と人間ではないものの恋の話だもの。それは、必ず悲劇に終わるんですよ。単純に悲しい話という印象だけでは終わらないラストを探ろうとは思いましたが、恋が成就する話にしようとは当初から考えていませんでした」

――本作で是枝監督が最もこだわったところは?
「空気人形が、自分の体にあるつなぎ目を消すシーンです。実際に“空気人形”を作っているオリエント工業のスタッフを取材した時、人形作りで一番こだわっている部分を聞いたら、型を2枚張り合わせた箇所のつなぎ目に線が出てしまい、それを何とか消してあげたいと。『人形もきっとこの線が気になるだろう』と彼は思ったわけですよ。その気持ちを注ぎこんだだけなので、このシーンは僕の演出というわけでもないんですけどね(笑)」

――空気人形役のペ・ドゥナさん、純一役のARATAさんのそれぞれの魅力は?
ペ・ドゥナの最大の魅力は、可愛いところ(笑)。僕が描いていた空気人形のイメージをはるかに超えてくれました。ARATA君に関しては、純一は彼しかいないと最初から決めていました。出会った頃と比べると、役者をやっていく覚悟が本人の中で出来上がっているように感じました。僕とARATA君は“役者”と“監督”という感じでもないし、不思議な関係なんですよね」

――透明なビン集めが好きな空気人形ですが、是枝監督がコレクションしているものはありますか?
「フランケンシュタインのフィギュアです。実はこの映画でも、空気人形がアルバイトをするビデオ屋のカウンター周辺に、僕のコレクションをたくさん並べています。フランケンシュタインって、自分を生んでくれた博士にも愛されず、友達もいなくて、花嫁にも気持ち悪いと言われるんです。その悲しくて切ないストーリーに惹かれてしまいますね」

――CMなどのプロデュースも手掛けている是枝監督ですが、雑誌をプロデュースするならどんなものを創りますか?
「今望むのはですね、映画をちゃんと批評してくれる雑誌。星3つとか100字で好きとか嫌いとか言ってるだけでなく、せめて3000字とか4000字で1本の映画を語ってくれる雑誌」

ARATAから是枝監督への質問

是枝さんの映画制作において“人”というのは切っても切れない永遠のテーマだと思います。今までも人の距離・記憶そして空虚などをテーマに撮っている中で、撮りたくても未だ撮れていないテーマはありますか?

「歴史を撮りたいと思っているのですが、まだ撮れていませんね。ひとつは、第二次世界大戦中の、民族が混じり合っている満州を舞台にしたストーリー。もうひとつは、ブラジル日系移民の歴史を撮りたいと思っています。サンフランシスコで会った移民の方たちは日本で暮らしている日本人よりもずっと綺麗な日本語を喋っていて、まるでタイムスリップした感じがしたんです。丁寧な言葉や正しいおじぎの仕方とか、そういうものを切り捨てて僕たちは生きているけど、遠い場所で日本の文化が受け継がれているということに、強い興味があります」

空気人形
(c)2009業田良家/小学館/『空気人形』製作委員会

是枝裕和
1962年、東京生まれ。1995年、初監督した映画「幻の光」が第52回ヴェネツィア国際映画祭で金のオゼッラ賞等を受賞。2作目の「ワンダフルライフ」(98)は、各国で高い評価を受け、世界30ヶ国、全米200館での公開と、日本のインディペンデント映画としては異例のヒットとなった。2004年、監督4作目の「誰も知らない」がカンヌ国際映画祭にて映画祭史上最年少の最優秀男優賞(柳楽優弥)を受賞し、話題を呼ぶ。

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